いろんな意味でビックリののりピー問題だが(宮崎でオレが事あるごとに「のりピー見つかった?」と聞くたび、息子は「のりピーって誰?」と聞いてきた。ので、オレは「マンモスうれピーって言う人」と答えておいた。息子「へー」)、今日の夕刊フジにタイトル通りの見出しが躍っていた。
字、違わね? 逃亡しているのりピーの背後に男の存在が浮かび上がってるという意味だろうから、ここは「男の影」だろう。このままだと、のりピーのそばに男がいて、その男のためにのりピーの一部が暗くかげって見えていることになってしまう。 あ、それでも意味は合うのか。 ……とかまあ、いろいろ思い乱れてしまうぐらい、いろんな意味でビックリのニュースですよ。とにかく早く見つかるといいと思います(投げやり?)。 仕事にからんで、調べ物をしている。キックボクサーの戦績を過去にさかのぼって調べるのだが、過去の団体パンフレット、雑誌のバックナンバー、そしてネットを使う。何しろ情報の絶対量が少なく、古くなればなるほど調べにくくなる。まあ当たり前だが。
自分で言うのも何だが(そして前にも書いた気がするが)調べ物とか探し物はけっこう得意な方で、今日も調べながら新しい手法(?)をいろいろ編み出した。 実名を挙げて恐縮なんだが、「宜虎」というキックボクサーがいる。「のりとら」と読む。だがこの名前になるのは昨年秋からで、その前は本名の「菊池宜顕」(きくちのりあき)で出場していた。 まず、当然「菊池宜顕」で検索する。これで得られる試合結果が、思いのほか少ない。わりと近い日付のものでも、だ。そこで、「菊地宜顕」で再度トライ。お、けっこう加わった。キクチさんはどっちの字の人も、よく間違われると嘆いているからなあ。でも、まだ全部にはならない。 次は「菊池宣顕」だ。宜と、宣。日常生活レベルでも、これは間違いやすい字だからだ。お、やっぱりあった。でも、まだ1試合だけ足りない。つか、よく残り1試合まで来たもんだ、オレ。 よーし、最後は「菊地宣顕」だ。間違いやすい字の合わせ技で。 オーッ、1件ヒット! これでめでたくコンプリート! めでたしめでたしである。 つーかこれ、ここまで書いて気付いたが、そのまんま「校正のコツ」ですな。ていうか、これだけ間違いがまかり通ってるんだから、やっぱりネットの情報というのはかなり気をつけて扱わないといけないということでもありますな。そんな夜。 校正以前の問題として、商業ライターでも言葉の使い方を間違ったまま憶えている例をよく見かける。
最近気になったのは、「〜なのは間違えない」ってヤツ。もちろん、正しくは「間違いない」だ。こう書く人って、長井秀和のアレも「間違えない!」って聞こえてたんだろうか。 それからよく見るのが、「〜せざる終えない」というもの。これは字面でなく、音で憶えてしまっているから「〜せざるおえない」とタイプして変換した結果、こうなるのだろう。この言葉が日本語になってないことも分かってないのだろう。 あと笑ったのは、「〜こと〜」ってヤツで、逆に憶えてる人がいること。正しく使うなら「Qちゃんこと高橋尚子」なんだが、ときどき「高橋尚子ことQちゃん」みたいな使い方をしている人がいる。それじゃ、「“高橋尚子”という異名を取っている“Qちゃん”という人」ということになってしまう。 まあ自分も完璧ということはないが、こういうのを書籍や雑誌などで見かけるとイライラしてしまう。せめて言葉は正しく使いましょうよ。 不定期連載とうたっていたとはいえ、忘れすぎな「校正のコツ」(こんなタイトルだったっけ? それすら覚えてない)。今回は、最近とみに感じることを。
タイトルにも書いた、「キョウイ」という言葉である。みんないくら何でも、ちょっと勉強が足りなすぎじゃないか? と不遜にも思ってしまうほど、この言葉の誤用が目立つ。つーか、何でもかんでも「脅威」にしすぎなんである。 たぶん、「驚異」よりも「脅威」の方が、かっこよく見えるのだろう。だからといって、「脅威的なパワー」とか平気で書くヤツ、それをそのまま通しちゃった刊行物が多すぎる。 広辞苑で引いてみる。 【脅威】 威力によっておびやかしおどすこと。「〜にさらされる」「核の〜」 【驚異】 おどろきあやしむこと。普通では考えられない事柄に対するおどろき。「自然の〜」 →〜てき【驚異的】 つまり、自分や何かに害を持って迫るものが「脅威」。それ以外は「驚異」なのである。そもそも、日本語に「脅威的」なんて言葉はない(と思ったら、今使ってるATOK2006では「脅威的」と変換できてビックリ)。 何でいきなりこんなことを書いているかというと、NHKのテロップでこの誤用を見たからなんだな。近年、テレビでは何でもかんでもテロップで出すようになって、明らかに校正が追いついてない。まあこの間違いなんかかわいいもんで、ホントに単純な誤植もすげえ目につく。 ま、そんなこと言ってもいざ校正の現場になると、「あれ、どっちだっけ?」ってなことになったりするのだが。
誰も覚えていない不定期連載第2回。第1回目は1月16日に書いてますので、興味のある方はバックナンバーからどうぞ。
当然のことながら、校正のためには言葉を知っていることが大事。同音異義語などは、間違いやすいので特に注意が必要です。 編集者でも案外、その違いを認識していない言葉もたくさんあります。 例えば、「沸く」と「湧く」。 これは、「何もないところからにじみ出てくる」のが「湧く」(湧き水、など)で、「もともとあるものが盛り上がる」のが「沸く」(沸騰)と覚えておけばいいでしょう。それでも、「拍手がわき起こる」などはどっちにしたものかちょっと迷ったりしますが。 それから、「懸ける」と「賭ける」。タイトルマッチなどでベルトを「かける」時は、「懸ける」。「懸賞」の「懸」と思えば、「勝った時のご褒美にもらえるもの」というイメージも分かるかと思います。対して「賭ける」は、ほとんど賭博に関する時しか使いません。 多くの人が間違えるのが、「たとえば」「たとえ(る)」「たとえ(〜しても)」。基本的に、「例」という字を使うのは「例えば」だけ。人や物に「たとえ(る)」のは「比喩」ですから、「喩える」だとわかるでしょう。副詞の「たとえ」は、もともと「縦え」なんだそうです。まあ、ひらがなが一般的でしょう。 「しんじょう」も間違いやすいですね。「生きのいい闘いを信条とする」なんて書きがちです。これはもちろん、「身上」。「信条」は、固く信じていること。そう書くと、また「あれ、どっちだっけ?」ってことになってしまいかねないんですが。 校正は、そのほとんどが言葉に関すること。そもそも正しい言葉を正しく知っていなければ話になりません。「正しい言葉」の知識を身につける努力も、校正をするには当然、必須です。 やべ、今日は固すぎたか? とりあえず、このへんで。
たまには仕事に絡んだ話を。
会社を辞めてフリーに転身した当時は、かなりな勢いで「ライターにはならねえ! オレは編集者だ!」なんて言ってたんですよね。今ではいい思い出です(笑)。でもまあ、今でも編集の仕事(書くだけではないという意味)もけっこうあります。 そのうちの一つが、校正。ゲラ(本になる前のチェック用に刷られたもの)を読んで、赤字で直しを入れるアレです。オレ、アレ好きなんですよね(笑)。で、実際に得意でもあります。というわけで、気が向いた時に校正に関する話をチョビチョビ書いてみようかなと。 いろいろ見てきた結論として言うなら、「校正には向き不向きがある」! 同じ編集者でも、校正に向いてない人は本当に向いてません。で、出版社などは意外と校正の基礎とかじっくり教えてくれるわけではないから(会社にもよるでしょうが)、長くやっている人でも校正が不得意な人は意外といます。ま、オレも「好き」ってだけで、威張れるようなもんではないですが。 ただ、好きな人にはたまらない(?)のが、校正という作業でもあります。いろんな人の目が通った後のゲラで誤植を見つけるとうれしいし、たまに、すごく笑える誤植に出会ったりもします。…って、オレが歪んでるんですかね(笑)。 そうだ、コツでしたよね。では今回の一言標語。 「まず自分の目を疑え」 誤植を見逃すというのはどういうことでしょうか。「間違いに気付かなかった」ということですよね。面白いもので、我々は文章を読む時、無意識で間違いを補正していたりするのです。例えば、 「慣れない環境に置かれて、彼はフラトスレーションを感じていた」 という文章があったとします。こうしてそこだけ書き出せば一発で気付くかもしれませんが、長い文章の中でこの一節があったら、意外と見逃されがちなんですよ。 なぜか。この場合だと、文字を目で追う時に、無意識の中で「フラストレーション」だろうと認識してしまっているということがあります。ここで、「あれ? 今、何か違和感なかったか?」と気付ければ、修正できるわけです。だから、「自分の目と脳は往々にしてウソをつく」ということを前提としてゲラに臨むこと。これは大前提。 具体的なコツとしては、カタカナやひらがなが続く部分にさしかかったら、できれば指で追うなどして、注意を凝らすこと。これで、イージーな校正ミスはけっこう減らせるはずです。 というわけで、次回へ。いつかは分からないですけど(笑)。 < 前のページ次のページ >
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